人間関係を改善する1番最初に必要な心理テクニック
はじめに
卒業式、職場の異動、転職など…この季節は様々な出会いと別れの季節です。
出会いと別れにつきものなのが、新たな人間関係との出会い、そしてそこに入ってなじんでいかなければいけないという課題です。
わたし自身、実はあまり人づきあいが得意ではないんです。1対複数という場面になると、どのタイミングでどう話をすればいいかが分からなくて、結局だまってしまうなんてことが多々ありました。慣れてしまえばいいんですけどねぇ。
こんなときによく思うのが、「もっとコミュニケーションスキルがあったらなぁ…」ということでした。あなたも一度はこうした悩み、感じたことはありませんか?
初対面の中でも平気でいろいろ話ができる人、気兼ねなくすぐに打ち解けられる人、そんな人がぜったいにそのグループの中にいるんですよね。
「どうすればああいう風に話せるんだろう…」と思うならまだマシです。でも「どうせオレにはできないし…」とあきらめてしまっては何も始まりませんし、何も変わりません。
もしあなたがそうした人間関係の悩みを少しでも解消し、この4月から心機一転、新しい人間関係を構築したいと思うのであれば、人間関係を構築していくための核となる心理学的スキルをご紹介します。
この記事を読むことであなたは、今までよりもスムーズな人間関係を構築するスキルを学ぶことができます。
なお、この記事は約5000文字と長文のため、記事の最後にあとでじっくり読みたい方のためにPDFファイルもご用意しました。どうぞご確認くださいませ。
なぜ人間関係で悩むのか
人間関係改善のスキルを学ぶ前に、まずはそもそも「なぜ人間関係で悩むのか」ということを考えたいと思います。
これを知ることで、多かれ少なかれ、人間関係で悩むことは人として当たり前なことということがより鮮明になります。
これはつまり、あなたが人間関係で悩むことはなんら特別なものではなく、誰にでも起こりうることと思っていただけるはずです。
誰にでも起こりうる悩みであると思えば、少し気が楽になりますよね?
では「なぜ人間関係で悩むのか」について、私なりの考えをお伝えしたいと思います。
マズローの欲求階層説
自己実現理論(じこじつげんりろん)とは、アメリカ合衆国の心理学者・アブラハム・マズローが、「人間は自己実現に向かって絶えず成長する生きものである」と仮定し、人間の欲求を5段階の階層で理論化したものである。また、これは、「マズローの欲求段階説」とも称される。
(ウィキペディアより)
この「欲求段階説」のなかで人間の基本的欲求が示されているのですが、その中に「所属と愛の欲求」と「承認(尊重)の欲求」というものがあります。
所属と愛の欲求とは
情緒的な人間関係・他者に受け入れられている、どこかに所属しているという感覚
(上記リンクより)
承認(尊重)の欲求とは
自分が集団から価値ある存在と認められ、尊重されることを求める欲求
(上記リンクより)
やや乱暴に簡素化していいますと「所属と愛の欲求」とは「孤独でいたくない、グループの中にいたい。」というもので、「承認(尊重)の欲求」とは「グループの中で、より注目・尊敬されたい。相手のことも認めたい。」というものです。
このように、人のもつ「欲求」に「他人の中にいたい」「他人から大切にされたい」という欲求がそもそも備わっているのです。
ちなみにこの説は西洋人の思想に基づくものでもあり、日本人にもすべてがあてはまるわけではないです。個を大切にする思想と和を大切にする思想とでは、欲求の段階も変わってきますよね。
とはいっても、こうした「人と交わりたい」という欲求があるのは、誰しもおおむね思い当たりますよね。
人間関係がストレスのもとであり、成長のもとでもある
さて、「人と交わりたい」という欲求を誰もが持っていることはおわかりいただけたかと思います。
でも当然、好き嫌いや相性といったものがあるので、すべての人から好かれるということはできないですよね。
これはいいかえれば、欲求が満たされないことが起こりうるということです。だから、人間関係がストレスの原因となってしまうわけです。
しかし一方で、人間関係によって人は成長できることも多々あります。これも思い当たることが誰でも一度くらいは経験ありますよね。
- 先輩との出会いで、大切な価値観を学んだ
- 上司からいわれた一言で、お客様に対する姿勢を学んだ
- 書籍などから先人の言葉を見て、仕事に対する心構えを教えられた
わたし自身のことを話すと、初めて勤めた職場の職場長との出会いが、ものの考え方や人との接し方に大きな影響を与えてくれました。
このように、人間関係はストレスのもとにもなることもあれば、成長のもとにもなりうるのです。
ですので、人間関係について、傷ついたりうまくいかないこともあることは頭に置きながら、進んでさけてしまったり敢えて消極的になったりはしないようにできたらと思います。
そのための、人間関係に入りやすくなるための核となる心理学的スキルをこれからお伝えしていきたいと思います。
より良い人間関係を構築するための核となる心理学的スキルとは
より良い人間関係を構築するための心理学的スキル、その核となるもの、それは「感情と向き合うこと」です。
コミュニケーションスキルを改善する方法として、例えば「聞き上手になる」といったことがよく言われます。
あなたも聞いたこと、ありませんか?
または、お笑い芸人のように楽しい話、自虐ネタ、そういったもので笑いを取るといった方法もどこかで聞いたことがあるかもしれません。
でも、実はそれ以前に大切なことが「感情と向き合うこと」なんです。
これはわたし自身が口下手、話下手、コミュ障だからよくわかるのですが、どんなにテクニックやノウハウを身につけて、アタマに入れていったとしても、まずそれを発揮する土俵に立てないんですよね。心臓バクバク、冷や汗ダラダラで。
「うまくいかなかったらどうしよう」
「変なふうに思われないから」
「えーっと、このときはこういうテクニックで…」
こんなふうに色々と考えてしまって、とにかく不安と緊張が頭をかけめぐり、アタマがぼーっとしてきてしまって、まるで100メートルを全力疾走をしたかのように鼓動がドクドクと早くなってしまうんですよね。
いいでしょうか。
だからこそ、人間関係を構築するための最初の心理学的スキルは「感情と向き合うこと」なのです。
では、「感情と向き合うこと」というのはどういうことなのでしょうか。
「感情と向き合うこと」をいいかえると、「感情とうまく付き合うこと」とも言えます。
それはまた、「感情を無理やり抑えこもうとしない」ということでもあります。
なにかうまくいかないことがあったときや、悩みがあったときに「ダメだダメダ、ポジティブに考えないと!」「もっと前向きにならなくちゃ!」と自分の心にムチを打つこと、ありますよね。あなたも経験ないですか?
こうして、自分の心の中にある「不安」や「緊張」といったものを『ネガティブなもの』としてしまい、それをなくそう、消しさろうとしてしまうことがよくあります。
これでは自分の感情と向き合うということになりません。
ちょっと考えてみてください。
本来なら、そういった心配や不安といった、一見『ネガティブ』な感情があるからこそ、自分をより良く変える努力ができたり、心がけができたりするわけですよね?
ですので、不安も緊張も心配も、あって当たり前の感情です。
それをムリに抑えこもうとすることは、ハッキリいってムリなことですし、ムダな努力です。
「感情とつきあう」具体的な心理テクニック
ではここからは、感情とうまくつきあうための心理テクニックを3つご紹介します。
いずれも簡単なものですので、ぜひ参考にしてください。
感情とうまくつきあうための心理テクニック その1
『ネガティブな感情にひたる時間を作ろう』
うえのほうでも書きましたが、多くの人はいわゆる『ネガティブ』な感情が出てくると、それをおおい隠してなかったものにしようとします。
そうすると、かえってそうした感情がどんどん湧き出てくることがありますよね。
そういうときは、敢えてネガティブな感情にひたる時間を決めてしまうのです。
1日1回に限りません。
例えば同僚と仕事をしていてネガティブになりやすいのなら、仕事の休憩時間のたびに3分でも5分でも時間をとって、そのネガティブな感情にひたります。
そのときは、そうしたネガティブな感情を否定せず、ひたすら紙に書きだしたり、それを大声で読んだり、あるいはその言葉を録音して聞き直してもいいでしょう。
さいしょはきっと、ツライと思います。
ですがこれを数日繰り返すことで、きっと自分の考えがバカバカしく思えてくるでしょう。
ただし、向き不向きがありますので、数日くりかえしてみても役に立たなかったときは、別の方法をためしてみてもいいでしょう。
感情とうまくつきあうための心理テクニック その2
『もっと極端に、大げさに考えてみよう』
何かネガティブな感情に覆われ、頭のなかが否定的な考えでいっぱいになってしまったときのことをイメージしてください。
「うー…きっと自分はまた失敗する。オレはいつもそうなんだ…」
普段がこれくらいの否定的な考えで落ち込んでいるのであれば、もっともっと大げさにしてみましょう。
「うー、きっとまた失敗する。上司はもうオレと話をしてくれなくなるんじゃないか。それどころか、同僚たちもオレと話をしなくなるだろう。きっとおれと目が合うだけで、まるでメドゥーサにニラマれたように無表情になって固まってしまうに違いない。オレが歩くトコロ行くトコロは、そうやってみんな石になってしまうんだ。こんなにまわりから避けられてしまう自分は、きっとニュースにも取り上げられて、今すぐ県内、いや日本国中に知られてしまうだろう。もう、人と話すどころか自分の存在そのものがいかにダメなものなのか、みんなが知ってしまうことになるだろう…」
…いかがですか?ここまで考えると、悩んでいることがバカバカしくなってきません?
感情とうまくつきあうための心理テクニック その3
『敢えてオープンに行きましょう』
不安や緊張といった感情を持ったときに、それらを否定して消し去ろうとしてしまうことが多いのは、上でも書きました。
そうではなく、敢えてその感情をオープンにしてみるのです。
「いまボクは、とっても不安です。人と話すのが苦手でこんなに心臓がバクバクしてるし。だからうまく話せないかもしれないけど、そのときは笑ってやってください。」
こんなふうにオープンにしてみたらいかがでしょう。
わたしも、仕事でおおぜいの前で話をしなければいけないときは、たいがいこうした自己開示から始めます。
ムリにカッコつけても仕方ないですからね
自分の弱みを見せることは、確かに勇気がいることです。
でも、言ってしまえば気がラクになることのほうが多いものですよ。
いかがでしょうか。
今回は3つの心理テクニックをご紹介しました。
よろしかったら参考にしてみてくださいね。
まとめ
ここまで長文をお読みいただき、ありがとうございました。
最後に、今回の記事をまとめたいと思います。
- 人が人間関係に悩むのは、そもそも人の持つ欲求として「孤独でいたくない、グループの中にいたい」、「認められたい、尊敬されたい」というものがあるものの、それがなかなか満たされないから。
- 人間関係はストレスのもとにもなるが、成長のもとにもなりうるので、避けてしまってはもったいない。
- よりよい人間関係を構築するための心理学的スキル、それは「感情と向き合い、感情とうまくつきあう」こと。感情をムリに抑えこもうとすることではない。
- 具体的な心理テクニック1 『ネガティブな感情にひたる時間を作ろう』
- 具体的な心理テクニック2 『もっと極端に、大げさに考えてみよう』
- 具体的な心理テクニック3 『敢えてオープンに行きましょう』
以上のテクニックを参考にして、ぜひともこの春からよりよい人間関係を作っていきましょうね。
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タグ:コミュニケーション・人間関係, トレーニング, 不安, 心理メカニズム, 感情
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